2月17日(火)、朱鷺メッセ中会議室にてセミナー「2026年賃金改定をめぐる諸情勢と県内諸統計の解説」を開催しました。セミナーでは、今春の賃金改定における主要な課題を整理したほか、2026年4月の法改正を見据えた「多様で柔軟な働き方と女性活躍の推進」についても講演が行われました。以下にその概要を報告します。
「2026年賃金改定をめぐる主な課題」
武田中小企業診断士・社会保険労務士事務所 代表 武田 浩昭 氏
1.賃金を巡る現状と背景
⑴労働人口の変化
15歳〜64歳の人口は減っているが、女性・高齢者・外国人労働者が働くことで、全体の労働者数はカバーされている状態。
⑵働き方の変化
昔に比べて休日が増え、労働時間は大幅に短縮されましたが、1人あたりの「稼ぐ力(生産性)」は依然として低いままである。
⑶実質賃金のマイナス
給料の額面(名目賃金)は上がっているが、物価の上昇に追いついておらず、生活が楽になった実感は乏しい状況。
2.企業間・男女間の格差(二極化)
⑴企業規模の差
大企業の生産性は中小企業の約2倍あり、内部留保(会社の貯金)も豊富である 。一方で中小企業は、利益の多くを人件費に回しており、余力が少ないのが現状。
⑵男女格差
男性の給料を100とすると女性は75程度に留まっており、他国(フランスなど)に比べても格差が大きい状況。
⑶業種別の差
金利上昇の恩恵を受ける「金融・保険」や、AI需要のある「情報サービス」は賃金が大幅に上がっているが、「介護・福祉・サービス業」は賃金が低く、離職者が多い傾向にある。
3.「防衛的賃上げ」と人手不足
⑴苦しい賃上げ
儲かっているから給料を上げるのではなく、「上げないと人が辞めてしまう」「人が採れない」という理由で無理をして上げる「防衛的賃上げ」が増えている。
⑵若手への偏り
人手不足が深刻な若者の賃金は上がっているが、その分、40代・50代以上の賃金は上がりにくい構造になっている。
⑶最低賃金の急騰
新潟県の最低賃金は1,050円まで上昇した。今後も上昇が見込まれる。
4.2026年からの社会保険・制度の注意点
⑴社会保険の拡大
従業員51人以上の企業では、週20時間以上働くと社会保険への加入が必要になり、いわゆる「106万円の壁」などの意識が変わってきている。
⑵子ども・子育て支援金
2026年4月から、健康保険料とともに徴収される新たな負担が始まる。数百円程度であるが、手取り額に影響する。
⑶労働条件通知書の変更
4月より、残業代を含まない実態で扶養から外れるかの判定が行われるなど、事務的なルール変更がある。
5.中小企業が取り組むべき対策
⑴業務改善助成金
生産性を高める設備投資と賃上げをセットで行う際に有効である。
⑵キャリアアップ助成金
非正規社員を正社員にする際などに活用すべきメジャーな助成金。
⑶総額人件費の管理
社会保険料の会社負担分(約1.7倍〜2倍のコスト)を考慮した、経営計画との連動が重要。
「若者・女性から選ばれる企業となるために
~ 人口減少時代に求められる多様で柔軟な働き方・女性活躍の推進 ~」
新潟県知事政策局 男女平等・共同参画統括監 白沢 知美 氏
1.新潟県の人口、驚きの将来予測
新潟県の人口は1998年をピークに減り続けている。このままのペースが進むと、45年後には約108万人、75年後の2100年にはわずか60万人にまで減ってしまう予測となっている。
⑴自然減の拡大
亡くなる人が生まれる人より多い状態。
⑵社会減の加速
県外へ出ていく人が入ってくる人より多い状態。特に20代女性の流出が多く、新潟を離れる人の7割以上が20代前半で、その約6割が女性である。
2.なぜ若者は新潟を離れるのか?(意識調査の結果)
県が初めて実施した調査では、進学だけでなく「仕事」や「価値観」に関する理由が浮き彫りになった。
⑴仕事への不安
「やりたい仕事が少ない」「給料やキャリアアップに不安がある」という意見が目立つ。
⑵古い価値観への違和感
「家事や育児は女性の仕事」というような、家庭や地域に残る古い考え方に、特に女性が負担を感じている。
⑶理想のギャップ
若い世代は「共働き・共育て」を望んでいるが、職場に長時間労働などの古い習慣が残っており、生活との両立が難しいと感じられている。
3.「選ばれる新潟」にするための企業の取り組み
新潟県を「働きたい場所」にするために、企業には以下のような変化が求められている。
⑴「Ni-ful(ニーフル)」認定制度
多様で柔軟な働き方を実践し、育児休業の取得率などが高い企業を県が認定している。
⑵働き方のルール改正
誰かが休んでも仕事が回る仕組みを作り、短時間で集中して成果を出す文化を作る。
⑶無意識の偏見をなくす
「女性だからリーダーに向かない」といった思い込みを捨て、誰もが活躍できる環境を整えることが重要である。
4.皆さんのための「魅力ある職場」作り
新潟県は、2100年に人口100万人を維持するという目標を掲げ、若者や女性が「住み続けたい」と思える地域・職場作りを全力で応援している。
2026年(令和8年)版 新潟県賃金関係の諸統計についてはこちらから
